終活とは

2021年2月3日

「終活」とは

「終活」とは、2010年の新語・流行語大賞にノミネートされた言葉で、「人生の終わりについて考える活動」を略した造語であって、老後を自分自身のために有意義に送るための活動であり、残される家族のための活動です。

以前は、生前に葬儀やお墓など死後の話しをするのは、縁起が良くないとされていましたが、「終活」という言葉はすっかり社会に定着し、さらなる拡がりをみせています。

「終活」が求められる理由

だれでも、いつかはこの世を去るときがくると頭では理解していても、現実の問題としてとらえることは困難です。

しかし、人は、だれ一人として、老いていくこと、死んでいくことから逃れることはできません。

自分らしい人生を全うするために必要なことは、判断能力がしっかりしているうちに自分のことは自分で決めておく、そして、そのための準備を整えておくことです

高齢になってくると判断力が低下してくることがあります。

また、自らが問題を抱えていることを認識する能力が低下してきたり、意思疎通が困難になってきたりすることもあり、意思表示をしたり、決定したり、支援を求めることができない場合が多くなってきます。

そこで、人生のしまい方などについて、あらかじめ“自己決定”をしておく、そのために、「終活」をしておくことが求められるようになってきました。

「終活」が求められる社会的背景

日本は、世界でも類を見ない少子化・超高齢化・急激な人口減少社会に突入しています。

2025年には、5人に1人が75歳上という社会となり、65歳以上の5人に1人が認知症を発症し、要介護者が急増すると予想されています。

それだけではなく、1年間に亡くなる人が約154万人にもなる多死社会にも直面することとなります。

その一方で、核家族化や夫婦の共働き化が進み、子どもや近親者が遠方にしかいなかったり、近くにいても関係性が薄くなっている高齢者世帯が増加しています。

そして、増え続ける認知症の方や要介護・要支援者、老々介護世帯・高齢者世帯、独居高齢者の方々などの生活を、子どもや近親者などだけで支えることがこれまで以上に困難となってきています。

また、単身高齢者世帯や高齢者夫婦世帯が増加している反面、自治会加入率の低下などもあいまって地域の連帯感や相互扶助の希薄化が進み、コミュニティ機能も低下しています。

実際に、独居高齢者の世帯数は、2000年には約3,000世帯だったものが、2025年には約7,000世帯になると見込まれています(令和2年版高齢社会白書)。

また、独居高齢者が65歳以上人口に占める割合は、2000年には8%弱だったのが、2025年には20%弱まで上昇すると予想されています(令和2年版高齢社会白書)。

2040年には、世帯数では約9,000世帯、割合では約23%にもなると見込まれています(令和2年版高齢社会白書)。

さらには、「措置から契約へ」という言葉で言い表されているとおり、生活のあらゆる場面において、自分のことは自分の判断と責任で“契約”という形で決めることが求められるようになってきました。

これらの事情から、元気で判断能力が十分にあるうちに、自分の人生のしまい方、例えば「受けたい(受けたくない)医療・介護、相続のさせ方、葬儀の方法や墓などの希望」など、自分のことは自分であらかじめ決めておくことが必要になってきたのです。

まとめ

人生をしまうに当たり、最も優先されるべきは、その人の希望であって、その人の意思、意向です

しかし、3世代が同居している世帯が激減し、親類縁者が近くの地域で生活しているということすら少なくなった現在、自分の意思をだれかに代弁してもらえることは期待できず、“人任せ“では、もはや自分らしい人生のしまい方は実現できない時代となりました。

そして、“人任せ“としておくと、残された家族などに非常に重い負担を強いることになってしまう時代ともなりました。

また、「終活」をすることによって、残された時間の過ごし方を、より有意義なものに変えられる、ということもあるのではないでしょうか。

高齢者の一人ひとりが、尊厳ある生活を維持し、最期まで人生の主人公として、自分らしい人生のしまい方を全うするため、あらかじめ“自己決定”をしておく、そのために、「終活」をしておくことが求められています。

注意事項

実際には、この他にも様々な法律上の規定がありますが、分かりやすくご説明するために、上記の記述(内容)は、それらをあえて考慮せず、簡略化してあります。