本当は親に終活をして欲しい!
親に「終活」をして欲しい
それが「本音」ではないでしょうか。
「終活」をしないままで、親の死を迎えたとき、相続、葬儀、お墓、日用品の整理、役所の手続きなど、一体全体、どこから手をつけたらいいのかを考えるだけで、頭が混乱してしまいます。
どこに何がしまってあるのか、どんな希望や考えを持っていたのか、借金はないのか、この手続きは誰(弁護士?税理士?司法書士?行政書士?)にお願いしたらいいのかなど、一気に問題が山積みとなり、今にも崩れ落ちんばかりの状態となってしまいます。
そして、死亡届、年金の受給停止、健康保険や介護保険の資格喪失など、期限内にしなければならない手続きも、たくさんあります。
毎日の仕事、生活、子育てだけでも時間が足りないのに、それらの手続きや問題に向き合うことは、相当な負担となります。
しかも、仕事を休める期間にできることなんて、そんなに多くありません。
では、どうしたら、親に「終活」をしてもらえるのでしょうか。
実際に困ること
「終活」をしてもらわないと、「子どもである自分が困る」ことは明らかです。
同居していても、親がどこに何をしまっていて、遺言書を書いているのか、相続や延命処置にどんな希望や考えを持っているのか、もしものとき、どこにどんな手続きが必要となるのかなんて、分からないのが当然です。
同居していなければ、なおさらです。
特に、最近では、高齢の方でもスマートフォンやパソコンを使っている方が多くいて、いわゆる「デジタル遺産」が大きな問題となる可能性があります。
紙ベースの記録のない、投資やインターネットバンキング、ネットショッピングやSNSをしている方も増えてきています。
また、キャッシュカードや会員カードを持っていることは当たり前な世の中となりました。
その場合、IDやPW(パスワード)などが分からないと、手も足も出ないことになりかねません。
役所の手続きだけでなく、水道光熱費の契約名義人や引き落とし口座の変更手続きも、手間と時間がかかり、本当に大変です。
同じような手続きなのに、それぞれの会社ごとに必要となる書類が異なったり、問い合わせ先をやっと探し当ててコールセンターに電話しても、たらい回しにあったり、オペレーターにつながるまで何度も何度も電話をしなければならないこともあり、それだけで、へとへとになってしまうのです。
言い出しにくい
言い出しにくいのは、親の「死」を前提にする話だからです。
親子がお互いに必要性を感じていても、話し合うキッカケがつかみづらいのです。
まして、まだまだ元気だと自信がある親に対しては、子どもから、切り出しにくい話なのです。
また、話をしたいと思っていても、一体、何の問題から話を始めたらいいのか分からないので、言い出しにくいということもあると思います。
そんなときは、自分も実際にやってみる、一緒にサポートしながらやってみることも考えてみてください。
そうすることで、「終活」の大変さや重みを実感できたり、親が口に出さなかった、親の口から聞いたこともなかった気持ちを聞くことができるかもしれません。
切り出すタイミングや方法
「終活」は思い立ったが吉日です。
いつから始めたらいいという「始めどき」はありません。
「終活」をしてもらうなら“元気で、判断能力がしっかりしている”うちにしてもらうことが大切です。
たとえ身体的に元気でない状態でも、“判断能力がしっかりしている”うちに、聞けることを聞いておかなければ、意味のないものになってしまう可能性があります。
それが本当の気持ちだったのかが分からず、医療や介護の方針を巡って兄弟姉妹の間で意見が食い違う原因になったり、そのときに本当に判断能力があったのかなど、特に財産関係の問題では争いの種となることがあるからです。
一般的に、話を切り出すタイミングとしては、年末年始やお盆など、家族が集まるときがいいとされています。
「言った言わない」の問題もありますが、「終活」は家族全員の問題でもあるからです。
遠保に住んでいる兄弟姉妹がいて、家族が集まる機会がなかなかなくても、普段の会話の中で、少しずつ、話をして、家族が集まったときに、改めてその内容を確認するということもできます。
話の切り出し方は、それぞれの親子関係により異なると思いますが、次のような方法も検討してみてください。
・テレビや新聞で取り上げられたときに、どう思うか聞いてみる。
・実家の家をどうしたいのか聞いてみる。
・知り合いの家族に実際にあったこと(トラブル)を話してみる。
・お墓や宗派がどうなっているのか聞いてみる。
無理強いはだめ
親がしてくれないなら、子どもの方から、してもらうようにすることが必要な場合もあります。
しかし、いくら「終活」をして欲しいと思っていても、無理強いはだめです。
「終活」は、本人の意思が最も尊重されなければならないからです。
「終活」をしていない親だって、自分の最期のことを考えていないはずはありません。
子どもに迷惑をかけないようにしたいと、思ってくれているはずです。
これまでは、実際に「終活」をする人なんて身近にいなかたし、その方法が分からないだけなのかもしれません。
「一度したから終わり」にしない
「終活」は思い立ったが吉日といっても、身体の自由がきかなくなってきてから、終末期に受けたい医療や介護など、これまでの希望が変わることが有ります。
また、身の回りのことが自分でできなくなってきてから、身の回りの世話をしてもらうことが多い子に、できるだけ報いてあげたいという気持ちに傾くことだってあり得ます。
人の気持ちは変わるのが常です。
「終活」は、「一度してもらったから(したから)終わり。」としないことが大切です。
まとめ
親が「終活」をしていた場合と、していなかった場合の子どもの負担は、まったく異なります。
親に「終活」をしてもらわないと、「子どもである自分が苦労する」ことになります。
しかし、非常にデリケートな問題ですし、最も尊重されるべきは親の意思です。
「終活」をして欲しい気もちを抑えながら、話を切り出すタイミングや方法を工夫し、無理強いをせず、一度で終わりにしないようにして、親が自発的に、気持ちよく、「終活」ができるようにサポートすることが大切です。
なお、「終活の方法」「終活とは」については、左記をクリック(タップ)してご覧ください。
注意事項
実際には、この他にも様々な法律上の規定がありますが、分かりやすくご説明するために、上記の記述(内容)は、それらをあえて考慮せず、簡略化してあります。